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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

『ギュグルルルルルルーー』

なにかを掻き回すような音が、光邦の腹から聞こえてきた。

光邦の顔色が変わる。

「あっ……ねぇ、おじさん……トイレ無い?」

「誰がおじさんだ! トイレ? 厠のことかっ!」

「かわやってなによ!? ダメ、漏れる」

光邦は、奥にある扉を開けて、中に入っていった。

「待て、そこは違う! おい!」

けたたましい、バ行の音が鳴り響く。

「うわぁぁぁぁぁーーーっ!!」

オイドは頭を押さえ、膝をつく。

音が鳴り止んだと、ホッとしたのもつかの間、最後に人間から出るには驚異の爆発音が響いた。

ゆっくりと扉が開くと、それと同時にチョットが玄関の扉を開けた。

肉食動物のバックヤードのような香りが漂い、少しやつれた光邦が出てきた。

「はぁぁ……死ぬかと思ったわ。この星の食べ物が合わないのかしらね」

オイドはあんぐりと口を開け、ヘロヘロと力なく床に腰を下ろす。

光邦は、「ごめんなさい、なんかバケツみたいなのがあったから、その中にしちゃったわ。汚してごめんね」と濡れた手を振る。

チョットは、オイドの耳元で、「すいません、掃除しますから、モップを貸してください」

オイドは無言で外を指差す。

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