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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第2章 サバイバル

光邦は身を潜め、逃げないよう小声で話しかける。

「なによ。あれって、大きいけどカエルでしょ? あれのウンコを食ってなんとか持ちこたえてるんだからさぁ。それに、あなた携帯用の食べ物持ってるって言ってたくせに、まったく分けようとはしないのね」

『分けるほど常備してないんです。それに、本当の緊急事態な時以外は口にしません』

「まあね、とりあえずは食べられる物あるからね」

『もっといいものが手に入るかもしれませんよ。あのキュージコージの動きをとりあえず……』

「なんっすと?」

『だから、キュージコージ』

「あれ、キュージコージって生き物なの?
カエルでしょ? 」

『キュージコージです』

「なんか、変わった名前ね」

『コールゲンデメタンケ・ロヨンピヨンキチ・ケーロログンソーケーロッピークルス・キュージコージが正式名称です』

「これからカエルと呼びましょう。で、あれを捕まえて食うの?」

『それもありですが、下処理が大変です。あのキュージコー……カエルは』

「慣れなかったらキュージコージでいいわよ」

『キュージコージは夜行性で、昼間は草の色になって敵に見付からないようにジッとしています。ですが夜になると体の色を黒くして果実や木の実のある場所まで移動します。それから木に登って食事をするのです』

「あんた、詳しいわね」

『生物学の博士号を取得しております』

「都合のいい資格持ってるわね」

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