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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第9章 ナナミー国

「なら、代わりに私が」とアーナルが玄関の扉の前に立つ。そして指先で扉を叩くと、

「ヴォォー」

「ちょっと待ってアーナルちゃん」

光邦が止める。

「なんだ?」

「たしか、トリセンナシで同じ光景を見たわ。そんな作法があるの?」

「常識ではないか。子供のような質問をするんじゃない」

「いや、あまりに地球とは、常識がかけ離れているもんだからね」

「知ってる。ノックして失礼しますとか、ごめんくさい、こりゃまたくさい、あぁくさぁ~だろ」

「違うもの覚えてるわね」

扉から『カチャ』と音がした。

中から顔を出したのは、一人の丸坊主の男だった。

「はい」

男は不思議そうな表情を浮かべる。

「突然訪ねてすまないが、屋根のある場所であればいい。一泊だけ休ませてもらえないか?」とアーナルが頭を下げる。

「ちょ、ちょっと待って」

男は一度中に戻った。

五分ほどすると、一人の女性が顔を出した。

「あれ!」

「あっ!」

女性と光邦がお互いを指差した。

「え、ひょっとして光邦さん?」

「ウラユちゃん! いたの!?」

そこにいたのは、以前この小屋で世話になった地球人のウラユだった。


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