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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第9章 ナナミー国

「大丈夫だ。あなたの言葉はちゃんと聞き取れている。私は地球に行ったことがあるから、フランスとカンボジアと日本の言葉は聞き取れるし、相手にも伝わる」

と言ってアーナルは、飲み物の入ったカップを手にし、口をつける。

「懐かしい味だな。コーヒーか」

「地球から持ってきました。粉末タイプのコーヒーですけどね」とウラユ。

光邦は久しぶりのコーヒーに、感動の涙を浮かべている。

「やだ、ありがたい! 地球の味だわ、嬉しい。でも、アーナルちゃんがフランスとかカンボジアまで行ってるなんて」

「この星から一直線で地球まで行くと、日本にたどり着くのだが、ごくまれに、この星の軌道がズレて、カンボジアやフランスに着くことがある」

「どうズレたらそうなるの?」

そのやり取りを不思議そうに見つめるゲンブ。まだ、耳と脳が言葉慣れしてないとみえる。

アーナルはカップをテーブルに置いた。

「しかし、もう二つの国が無くなったいま、なぜナナミーは地球からわざわざ芸人を呼んで楽しもうというのだろう? まあ、他の住民には国という名称が無くなるだけで、変わりはないとはいえ、笑ってるゆとりはないと思うのだが……」

選ばれた勇者のみの戦いによる、規模の小さな戦争。ナナミーは、この戦いをどう見ているのかが、疑問だった。

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