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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第9章 ナナミー国

アーナルはチラチラと窓の外を見る。

ここはナナミーの領土になるため、なんの許可もなく足を踏み入れていることが落ち着かないようだ。

ターキーをはじめ、トリセンナシやガシでは国に入る入り口があり、そこを通りさえすれば問題はない。だが、ナナミーだけは、塀すらなく、あるのは、険しい山と罠ばかりだ。

チョットはそんな落ち着かないアーナルに、声をかける。

「大丈夫です。以前、私と光邦がここに来た時、兵士が私を連れ去りに来たのですが、光邦を勇者アーナルと間違えて、去っていきました。本物がいたら何も手を出せません」

「ならいいが、ナナミーは四つの国の中で唯一の戦闘民族だ。だから、あえて塀は作らず、危険な生物が侵入してもやつらは捕獲し利用する。だから、兵士が来たとしても、私の敵は兵士ではない。兵士とはやり合いたくはない。あくまで国を背負った勇者との戦いのみに剣をふるいたい」

「おそらく相手の勇者がここにくることはないでしょう。今日は旅の疲れを癒やして、明日からナナミーの中心に向かいましょう」

「チョット、お前は私と勇者が向かい合った場合、戦いを黙って見ていられるか?」

アーナルの質問にちは、こう答えた。

「いえ、誰も失いたくないので、止めますよ……光邦が」

「いや、あんたが止めなさいよ!」

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