テキストサイズ

え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第9章 ナナミー国

光邦は次の言葉が見付からないのか、いや、言いたい事が複数あり、一つに選べないのか、口をパクパクしながら小刻みに指をさす。

アーナルは男に詰め寄り、「デンブ、まさかお前が……」と声をふるわせる。

「まったく、わからないもんだな。運命ってこういうことを言うんだな」

その様子を見てみぬふりで、ウラユとゲンブはスケジュール表を眺めていた。

「おい、ハゲの地球儀!」パクパクした後に光邦の口から出た言葉はそれだった。

「その呼び名はやめろ! 俺の名はデンブ、ナナミー国の勇者として使命を受けた」

「なにが勇者よ。あんた、この星の人だったの? なんか、軽くカルチャーショックなんだけど」

「俺が別の惑星から来た者だって明かせるわけないだろ! それにあの店での俺はビジネスオネェだ。お前のようなガチじゃねぇ。てかお前、俺のここでの言葉がわかるのか?」

「あんた達の力なんでしょ。耳が慣れたからわかるわよ。もうすぐそこの漫才の兄ちゃんもわかるようになるわよ」

「そうだが……」

デンブはチラリとアーナルを見る。

アーナルの手は、剣に添えられていた。

デンブは兵士に「お前たち、もう帰っていいぞ」と指示を出す。

「デンブ様は?」と兵士R。

「俺は大丈夫だ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ