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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第10章 ターキー国王

そこには、ヨギボーのようなクッションしかなく、その上には灰色の煙がフワッと舞っているだけだった。

「なにっ!? 国王はどこに? 国王っ!」

デンブは、部屋の周りを見るが、人がいる気配はどこにもなく、また人がいた痕跡すらなかった。

アーナルは、なにが起こっているのか理解出来ず、右手でこめかみを押さえている。

光邦は拳を握る。「やっぱり、私の思った通りだわ。見なさいよ、ここにいたはずの国王が跡形もなくいなくなってるのよ。これが現実よ!」

「国王様は、どこに?」とデンブは、部屋の中を見回す。

「どこにもいないわよ。たぶん、消えたんじゃないの? つまり、これでこの国……いや、この国の名前は無くなったわ。まあ、名前なんてどうだっていいけど。名前無くても国の人は、存在するのよ。だったら、名前なんてなくてもいいじゃない」

「……てことは、俺達は、国の名前のために殺し合いをしてたってことか?」デンブは、肩を落とし、そのまま膝をついた。

「まあ、考えたら、誰も殺してないけどね。つまり、このブレスレットをつけたものが、命を失えば、それに繋がってる国王も消えるのよ。取り外しが自由に出来る時点で気がつかないのは、どうなのよ。だから、あなた方が死ぬことないの。虫が身代わりになってくれたわ」


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