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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第2章 サバイバル

ひょっとしたら、チョットも同じような目にあったのではないか?

「無責任過ぎるわよ。こんなとこに私を連れてきて、勝手に食われて死んで……」

食われたか死んだかは、まだハッキリしていないが、光邦の中ではすでにチョットは、どこかで頭を残して食われている映像が流れていた。

だが、いつまでも恐れていては、なにも進まない。血痕が残る、あの場所に戻ってせめてお悔やみの言葉でも唱えてあげよう。これからのことを考えるのは、まず落ち着いてから。必ず生きて帰る。その希望は無くしてはいけない。

「そうよ、まだ私は生きてるじゃない。まだ可能性はゼロじゃないわ。なんとかなる。なんとかなる」

そう呟きながら、気持ちを高め元来た道を戻っていく。



『どこ行ってたんですかアーナル様。いばりでも出してきましたか』

「…………」

光邦の思考が固まった。

霊?

本物?

なぜ小便を「いばり」って別の言い方で言う?

「とりあえず殴っていいかしら?」

『蹴られるよりマシだと思いますが、やめて下さい』

「なんで生きてるの?」

『死んだと思ってましたか?』

「だって、私達がいた場所に、赤い染みが……」

『私、夜泣きいたしました』

「まさかの額からの涙!? しかも、夜泣き!!」

チョットは額から、真っ赤な涙を出す。

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