え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?
第1章 ちょっと、待って!
五人の女性ダンサーは、それぞれの化粧台の前に座り、そのうち二人は小さなカバンを持って立ち上がり、外に出た。喫煙をしにいったのだ。
残りの三人は、ペットボトルの水を取り、グイグイ飲み始める。
髪を部分的に赤く染めた、ダンサーが衣裳の胸のあたりに手を入れた。
その手を抜くと、軟らかそうなお椀型の物体が二つ。
「もう、これ蒸れてしょうがないわぁ」とハスキーな声で言った。
「だったら豊胸する? 高くつくわよ」と髪飾りのついた金髪のカツラをはずしながら、濃い金切り声で話す。この人物が、ステージ中央で腰を振っていたダンサーだ。
ここにいるダンサー達は、女性ではない。
女の心を持つ男性が女装した、俗に言うゲイである。
金髪を脱いだ男……の名は、黒井光邦28歳。源氏名は「アーナル壺菊」。
もちろん表舞台には出ておらず、もっぱら小さなゲイバーや、人目につかないショーパブ等を中心に活動をしている。
胸のパッドを抜いたのは、源氏名「スペル万次郎」、その隣にいる黒いロングヘアの男はオマーン……これ以上はやめておこう。
アーナル壺菊こと光邦は、2センチほどもある付けマツ毛を、付け直し鏡越しに万次郎を見る。
「さっき行った、歌手とその次のマジシャンが終わったら、今日ラストのステージよ。出し物かえる?」
残りの三人は、ペットボトルの水を取り、グイグイ飲み始める。
髪を部分的に赤く染めた、ダンサーが衣裳の胸のあたりに手を入れた。
その手を抜くと、軟らかそうなお椀型の物体が二つ。
「もう、これ蒸れてしょうがないわぁ」とハスキーな声で言った。
「だったら豊胸する? 高くつくわよ」と髪飾りのついた金髪のカツラをはずしながら、濃い金切り声で話す。この人物が、ステージ中央で腰を振っていたダンサーだ。
ここにいるダンサー達は、女性ではない。
女の心を持つ男性が女装した、俗に言うゲイである。
金髪を脱いだ男……の名は、黒井光邦28歳。源氏名は「アーナル壺菊」。
もちろん表舞台には出ておらず、もっぱら小さなゲイバーや、人目につかないショーパブ等を中心に活動をしている。
胸のパッドを抜いたのは、源氏名「スペル万次郎」、その隣にいる黒いロングヘアの男はオマーン……これ以上はやめておこう。
アーナル壺菊こと光邦は、2センチほどもある付けマツ毛を、付け直し鏡越しに万次郎を見る。
「さっき行った、歌手とその次のマジシャンが終わったら、今日ラストのステージよ。出し物かえる?」