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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第1章 ちょっと、待って!

万次郎は、急いで化粧を落としていた。

「ごめ~ん、私これから彼氏と会うのよぉ~。四人でお願いしていいかしら」

「あら、妬けるわねぇ。化け物から男に戻ってデート?」と光邦は、濃い口紅を厚く塗りたくる。

「そうよ~、キャンキャンなついてくる彼氏」

「なんだ、ペットなのね」

「大事な彼氏よ。そうそう、これ知ってる?」

万次郎は、バッグからスマホを出した。

「あのさあ、面白いアプリ見つけたのよ」

「アプリ? ゲームなの?」

「違うわよ、ふざけないでよ。ぶち殺すわよ」

「間違えたペナルティが、絶望的すぎるわよ。なんなの?」

「これ」と万次郎は、二人に画面を向ける。

それを見て、「あ、私それしってる! 動物や植物と会話出来るアプリよね」

と最初に食い付いたのは、オマーンだった。

「あら、小平板(こひらいた)ちゃん、知ってるの? うれしいわ」

「私、近所の猫相手にやってみた。でも、怖がって逃げるのよぉ~」

「あなた、スッピンでいかなきゃダメよ。私達メイクしたら妖怪通り越して化け物になるんだから~」

光邦は、それを聞いて、両方化け物じゃねえかと思いつつ、鏡を見ながら(私もだ)と思った。

ブルーのアイシャドー、真っ赤な血の色の口紅、パンクバンドもドン引きするほどのカラーファンデーション。夜中メイクのまま夜道を歩き、いつの間にやら警察が増えて出たことがある。


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