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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第2章 サバイバル

徐々にこの油すましに苛立ちを隠せない光邦は、「そ、そうねぇ……邪魔になるもんねぇ……」と何度もチョットの頭を、平手でペチペチと打ち続けた。

人の手が加えられていない、足元の悪い自然の獣道を辺りを警戒しながら進む。

いくら水分補給をしたとはいえ、汗は滝のように流れ、飲めば飲んだ分だけ、お小水が近くなる。

また固形物はなにも口にしていないため己の精神は、空腹と疲労、暑さ、なにが出てくるかわからない恐怖との闘いであった。

倒れた木や、絡みつくツタ、垂れ下がった枝や葉が、行く手を阻む。

「なにか食べられそうなものないの?」

『まだ、見付かりませんね。時期的なものも重なって、少ないのかもしれません』

やがて、足元がぬかるみにとられることなおなった。

地球の泥地と違い、やや粘りがある。

それだけに、歩行がしずらく、すぐ足に疲れがたまる。

自分はいったいなにをしているのだろう?

なんの目的でここに連れて来られたの?

そんなことばかりを考える光邦。前を歩くチョットが、気遣って振り返る。

『……アーナル様ですよね?』

「なに言ってるのよ。私よ」

『ですよね。いや、なんとなく顔が変わったような気がして……』

「え?」

光邦は、携帯電話のカバーをはずした。

そして、後ろに貼っていたミニ鏡を覗く。

「やべ……化粧がはげてるじゃないの」

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