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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第1章 ちょっと、待って!

外に出ると、犬と酔っ払いの小便場になっている電柱の下に、なにやら、葉っぱを何枚も繋いだミノのような物を身に着けた裸足の人物が、街灯に照らされて立っていた。

しかも、頭はスキンヘッドで、頭皮には夜空の星のように、小さなホクロのようなものが、点々と目立つ。見たところ、男性のようだ。

(なに……あの人かな? いやだ、靴履いてないし、汚らしいし。てか、なんで私なの? うちのハゲの地球儀の方が相性あってるじゃない?)

そのハゲたプラネタリウム……いや、は、光邦に気付いたのか、大きく頭を振って近寄ってきた。

その姿にゾッとしたのか、光邦は思わず後ずさり。

「いやいやいや、ちょっと待って、キモいキモいキモい!」

『探しましたぞ。さぁ、まいりましょう』

「は……はいっ?」

『帰るのです』

「いや、え、なに? 私、まだステージが……」

謎の男は、両手を広げ、天に向けた。すると、キラキラした光の柱が二人の目の前に現れた。

「えええーっ!! なに、なんなのこれ!?」

謎の男は、強い力で光邦を光の中に引っ張りこむ。光邦は抵抗出来ないまま、
光の中に入れられた。

「なになに、なんで、ちょっとヤダヤダヤダ……誰かぁぁぁーーっ!」

光の柱は消えた。


突然あらわれた謎の男に、為す術なく連れ去られたゲイダンサーの光邦。

ほんの一瞬で、目の前の景色が変わった。

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