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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第1章 ちょっと、待って!

上下前後左右、どこを見ても曲線を描く光のタイル。まるで、ミラーボールの中に入っているかのようだ。

「っ!!!!」

驚きと恐怖のあまり、声が出ない。

謎の男は、首を上下にコリコリと動かしながら、歯茎を剥き出しにニンマリと笑う。

『探しましたよアーナル様』

「はぅい!?」

なぜ、自分の源氏名を?

しかも、ほぼ店の人とダンスメンバーしかしらない名前である。

ちなみに、光邦のいるオネェダンスグループはAチームとBチームで分かれていて、光邦はAに所属する。ちなみにグループ名は「10我(テンガ)」という。

『アーナル様、まだご存じではないと思いますが、我が惑星の……』

「アアアダーーーッ!!」

『アーナル様、まだ最後まで言ってません』

「ここから出せぇーーっ!」

ようやく声を出せた。

謎の男はその声に驚きつつも、すぐに落ち着きを取り戻し、静かに目を閉じる。

『わかりました。アーナル様がそうおっしゃるのなら、ここから出してさしあげます』



その瞬間、羽根のないオカマは夜空を舞った。

目の前に見えるのは、はるか下にあるきらびやかな夜景。

そこは、「ウットリ」とはいかず、現実は

「ぅああああああああああああーーっ! 助けてくれぇーーっ!」


その叫びが届いたのか、光邦は元のミラーボール風の部屋に移動していた。腰が抜け、ドスンと座り込み、床の存在をありがたく感じた。

「ハァ……ハァ……」

『出せとか助けろとか、忙しいお方だ』

「あ、あんたっ、なにしやがる! いま、全身でニュートンを勉強したわ!」


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