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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第3章 いざ王国へ……

「ちょっと待ちなさいよ」と光邦が間に入る。

兵士、おそらくAが、槍を突きつける。

「誰がAだ! そこの者、邪魔をするでない」

「やだ、そんな物騒なもの向けないでよ。戦争って言うけど、私達はなんにも武器を持ってないのよ。それに、チョット一人じゃ、なにかしようにも出来ないわよ」

「いくら丸腰であろうと、我々の国によそ者の副大臣が足を踏み入れた以上は、黙って見過ごす訳にはいかない。我が国王の前まで引き連れ、捕虜として収容しなくてはならない」

「明日の朝には出ていくわよ。それまで待ちなさいよ。それに、いつまで他人の、それも女性の一人暮らしの家に男ばかり集まってきてるのよ。ちょっと外で話しましょ」

兵士は横一列に並び、一斉に、

「大変、失礼をいたしました」と頭を下げる。

「はい、それでいいのよ」

兵士達と光邦とチョットは、外に出た。小屋の中からは、ウラユが心配そうに窓から覗いている。

「とりあえずあなた達、武器は下げましょうよ。人数ではそっちが勝ってるんだし、そんなもの向けなくてもいいじゃない。怖いのよ、本当にさあ」

たしかに、この者の言う通りだと兵士達は槍を下ろす。

チョットが光邦を下げて、前に出た。

「私が捕まれば、ターキー国がひれ伏すとお思いですか? 私は副大臣ですが、あくまで肩書きにすぎません」

日本にもそんな政治家がいると、光邦は思った。

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