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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第3章 いざ王国へ……

「私を一人失ったとて、ターキー国には私の代わりになる指導者はたくさんいます。私でよければ喜んで捕虜になりますよ」

他国の兵士を前に、眉一つ動かすこともなく、むしろ強気に前を見据える。

「そこまで言うのなら……即刻連行し、ターキー国に対し見せしめのため、斬首刑にいたそう」とたぶん兵士Bと思われる男が、槍の切っ先をチョットの喉元に突き付けた。

「待った待った、それは困るわ」と光邦が割って入るが、三人の兵士から槍を向けられ、思わず口を止める。

チョットの口元が、微かに笑った。

そして自分から半歩前に出た。

間違っていなければ、兵士Bであろうと確信が不十分な男が持つ槍の先が、チョットの喉元に食い込んだ。

「おい、さっきから俺たちの扱いが雑じゃねえか!」と吠える兵士。

そんな声をないがしろにしつつ、私は描く。

チョットの首から、緑の液体が流れ落ちる。だが、その目は強く兵士達を見つめる。

「なにやってんの、やめなさいよ」と光邦は思わず、兵士達が向けた槍の穂と呼ばれる刃の下の口金を掴むと、そのままグイっと押し返した。

兵士達はバタバタと後転した。

「貴様っ、なにをするか! 」

「あなた達、大袈裟よ。ちょっと押しただけじゃない」

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