テキストサイズ

え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第3章 いざ王国へ……

「動くんですよ。ちょうどこの真裏が、昨夜兵士が来て揉めた場所になります」

光邦は裏にまわってみる。

そして、すぐに戻ってきた。

「ほんまやわ。緑の血痕がある」

それは昨夜、チョットが傷ついて流した血であった。

動く小屋と言うが、動いていることにまったく気が付かなかった。

「ほんの少しずつ動いているので、なかなかわからないんですよ。ここに来て間がなかったころ、朝起きたら驚きました」

「驚いたわぁ、あの兵士が嫌がらせでドブ溜めていったのかと思ったわよ」

「光邦さん、あの池の正面に立って、3回心を込めて手を叩いて下さい」

「どうして?」

「この池の真上に、太陽が当たる時間帯のみですが、三つ首の竜が出ます」

「え、嘘っ!」

空を見上げれば、確かに太陽が池の真上にきている。

「いま来ているわ……どんな竜よ」

「蛇のような首が三つあって、体が金色です」

「リアルなキングギドラが見れるのね……」

光邦は目を閉じて、大きく息を吸う。

ドブ臭かった。


そして、心に祈りを込め、手を叩いた。


『🍞ッ、🍞ッ、🍞ッ』

雑念が入ったため、今のは無しともう一度叩いた。

『パンッ、パンッ、パンッ』

空気が一瞬、静まりかえる。

そして、微かに風を感じた。

いよいよ現れるのか……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ