テキストサイズ

え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第4章 ターキー国

扉の向こうには、予想もしない世界が広がっていた。

光邦は息をのみ、辺りを見渡す。

「なにここ……都会?」

高層ビルやマンションが建ち並び、人々はファッショナブル……とまではいかないが、キラキラと輝くミノや、布を纏っている。

車はなく、代わりに巨大な鉄の球体が転がっている。

町を歩く若者がチョットの存在に気付く。

「あ、チョット副大臣……みんなーっ」

その声に人々は一斉に一列に並び、頭を下げる。

チョットはその間を通る。

「いや、いいですよみなさん。自由に歩いて下さい」と言うと、人々は口を揃え、

「有り難き幸せです」

その光景に光邦は唖然とした。

そんな凄い人物を、自分は蹴り倒していた。

さらに、一人の女性が光邦の顔を見て、

「アーナル様だぁぁーっ」

あっという間に、光邦の周りに人集りができた。

「え、え、なになに?」

光邦は、身を縮める。

「アーナル様、我が国のために、絶対勝って下さい」

「アーナル様は無敵ですから」

一人一人が、まったく事情も知らない光邦にエールを送る。

チョットが、間に入る。

「はい、みんな。我々はこれから国王のところに行かなきゃいけませんので、道をあけて下さい」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ