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この夏、君に溺れた

第6章 夢の終わり

「一度、帰ってくるんだな。」

そこには心配顔の先生がいた。

「帰って来ますよ。」

笑顔で答えた。

「ちゃんと先生が、コンテストの締切に間に合うように、原稿出したか、気になるし。」

「おまえね……」

すると生徒が立ち上がるのが見えた。


「ヤバい!塾に遅れる‼」

私は慌てて玄関に向かった。

「行ってきま〜す。」

玄関を閉める時に、先生がなんか言ってた気がしたけど、気にせずに塾へと急いだ。


ここから塾へ通うのも、今日が最後。

この道を通るのも最後。


そう思ったら感慨深い。


先生に"行ってきます"って、言うのも最後?

そんな事考えたら、目頭が熱くなった。

私は頭を横に振った。


違う。

それは今後次第。

自分にそう言い聞かせて、私は塾までの道を急いだ。

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