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この夏、君に溺れた

第7章 もしも許してくれるのなら

一年前に、先生と一緒に行った海で遭遇して以来、葉山君は回りに気づかれない程度に、話しかけてきた。

大学は別な事をいいことに、今度はバイトが終わるまで、お店で待つ始末。


「ねえ、告白された?」

「何度も。」

「どうして付き合わないの?」

「好きな人がいるから。」

カウンターを拭く、美羽ちゃんの手が止まる。

「それって、高校の時に付き合ってた人?」

「付き合ってたかどうかはわからないけど、その人。」

美羽ちゃんは、長いため息をついた。

漫画のような恋愛をしたいと、呟く時と同じ仕草だ。


「切ないよね〜」

「美羽ちゃん、手が止まってるよ。」

「はいはい、芽依様。」

お客さんが少ない事に、葉山君も美羽ちゃんも、利用し過ぎた。

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