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騎士様は私のボディーガード

第11章 騎士様、ボディーガードです!

そう宣言した伊藤さんは私の肩から手を滑らせると、脇の間から手を入れてきた。


「……っ!」

「伊藤、社長が呼んでるわよ、早く行って」



胸を触られる寸前、広瀬さんが事務所内に入ってきた。
そのおかげで、胸を触られるのを免れた。



「はいはい、すぐ行きますよ」



伊藤さんは広瀬さんとすれ違うと、事務所から出て行った。そして入れ替わりに、広瀬さんが私の隣のデスクに座る。



「……」



すごく気まずい。
でも今の……もしかして助けてくれた?



それから私は広瀬さんと一言も喋らず、伊藤さんとも会わずに定時が過ぎた。
いつもは仕事を押しつけてくる広瀬さんだけど、今日は何も言われなかった。



「楠さん、ちょっといいかな?」



帰る準備をしていると、珍しく社長から声をかけられた。
社長はまだ30代で若い。



「社長、お疲れ様です」

「お疲れ様。仕事の方はどうかな?」

「あ、なんとか頑張ってます……」

「楠さんの話は周りから聞いてるよ。真面目に働いてくれるから助かる」

「あ……ありがとうございます」



周りからって……まさか広瀬さん?



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