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騎士様は私のボディーガード

第14章 騎士様、私の両親を紹介します

「……っ」



どうしよう、声がでない。
すぐ外で待っててくれる白石さんに助けを呼びたいのに……!



それに金縛りにあったかのように、身体も動かすことができなくなった。
女から目を反らしたいのに反らせない。



『……渡さない……』



また銀髪の女が呟く。



渡さないって何を?
一体何がしたいの?



銀髪女の口角が上がる。
そして、ボソボソと囁くように何かを呟き始めた。



『……あなたにシリウス様は渡さない……』

「!!」



シリウス──!?
今、シリウスって言ったの!?



あなたは一体っ………



『オブリオン』



その瞬間、私の頭の中の一部の記憶が消えていくような感覚に陥った。



「……あ……何? 何をしたの……?」



声が出る。
身体も動かすことができる。



でも……



「……あれ? 私、今……誰のことを考えていたんだっけ……」



ふと鏡を見ると、自分の顔が写っていた。



「えっと……あ、そうだ! 早くトイレから出なきゃ!」



いけない、いけない。
白石さん、待たせちゃってるよ!



「白石さん、すみません! お待たせしました!」

「美桜さん。じゃあ、行きましょうか」

「はい」



私は白石さんと共にタクシーに乗り込んだ。
一瞬、私の名前を呼んで優しく微笑む男性の姿が頭に浮かんだけど、モヤがかかって誰だかわからなかった。



なんだろう……
何か忘れてるような気がする……






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