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お話の続きは異世界で

第14章 遠く聞こえる音楽は

それは遠い昔――

池のそばでへたりこんだ子供がいた。

「お前、何してんだよぉ」

オイラの呼び掛けにびくりと肩を震わせ、こっちを向いた途端

「ぼ、ぼくの…ぼくの帽子が…」

ピンと立った白い耳が、へにゃりと垂れ下がる。

「帽子ぃ?あぁ、あれかぁ」

そいつの指し示す方向を見て、その存在は認識できた。

けど…

「お前のなの?ちっちゃくねぇ?」

池に浮いた帽子は赤ん坊のもののように小さくて。

「ぼくのだよ!」

オイラの指摘に、ウサギは目を見開いて大きな声を上げた。

「おじいちゃんにもらった、大事な帽子なんだ!」

「なら、何でこんな所にいるんだよ」

大事なもんならさっさと拾いに行きゃいいじゃねーか?

首を傾げれば、ウサギは顔を歪めて泣きそうになって――

「だって…僕、みっ、水が、怖いんだ…!」


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