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お話の続きは異世界で

第18章 脱がされるんじゃ堪らない

だって、二人はあんなにも仲が良さそうにみえたのに。

それを、暴力ふるってるって誤解されてる――?

「ママってーのは、疑い深ぇ奴なのかい?」

カエルが片方の目を細めて訊いた。

あ。

カエルも男の人が暴力男じゃないって思ってて―――ママさんが誤解してるんだと考えてるんだ。

同じ気持ちなのが嬉しいし、少しだけ安心した。

すると、男の人は顔をしかめ、本当に困った表情を浮かべると

「いや、 そんな事はない」

そう言って、前に向き直った。

心なしか、三輪車のペダルを踏む男の人の足取りが重くなってきた気がする。

そんな事はない?

それって…どういう事?

男の人の言葉の意味が掴めなくて、思わずカエルと顔を見合わせる。

すると、男の人が低い声で呟いた。

「問題は俺なんだ。…俺が勇者だったから」

へ?

「勇者?」

目を見開いた私達に、男の人は被せるように告げる。

「ああ。俺は――渡り人なんだ」

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