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お話の続きは異世界で

第18章 脱がされるんじゃ堪らない

自転車を漕ぐ男の人の背中を見つめ、自分の考えが甘かったと認識した。

帰れない人もいる、って事…?

だったら、私は――

「あ」

でも、待って。

ここは…佐藤くんのお話の中、なんだよね?

この世界は、佐藤くんが書いた小説と似過ぎている。

じゃあ、この男の人は…もしかしたら佐藤くんが作り出した『違う世界から来たキャラ』なんだろうか?

私とは違って、本当は『違う世界』なんて無くて…だから帰れない。

帰りたいのに帰れない『フリ』をしてる登場人物。

「まさかそんな…」

そんなはずないだろう。

そう思うけど…

でも…それを確認する方法がない。

「んん?一体どうしたってんでぇ?」

カエルが怪訝そうに私を見て聞く。

それに対して、口を濁らして苦笑いを浮かべた。

だって、こんな話、誰に言ったって理解もしてもらえないんじゃないかな?

この世界は虚構で、あなたも周りの皆も想像の産物なんだよ、なんて。

黙ったままの私に、カエルは首を傾げるだけだった。

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