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先生、俺が教えてあげる。キスも全部

第4章 感触

・・・・は?

佐伯の言葉に目が丸くなり、心臓はドクリと脈打つ。

意識…?何…が?


「っ…佐伯、ふざけること言ってないで…」

「ふざけてないよ。ただ、今朝先生の態度がよそよそしかったし、手が触れただけなのにあんな可愛い仕草されちゃね…気になるのも仕方ないでしょ?」


そう言われ小さく鳴っていた心臓がどんどん早く脈打ち音が激しく鳴り始める。

一生懸命普通に接しようとやっていたのにっ…

唇を噛み締め拳を握り締め、乾いた笑いと共に口を開く。


「っはっ…、別に動揺なんかしてないし意識とかしていない。あの時はびっくりしただけで…」

「本当に?実際は昨日のキスが原因で動揺しちゃってたんじゃないの?」

「なっ…!?お前、いい加減にっ…」


ムキになって佐伯の方に正面向けば、何故か嬉しそうな顔を浮かべた佐伯が居た。

え…?

言葉を詰まらせていると佐伯は「…良かった。」と口にする。


「っ、何が…」

「…だってやっとこっち見てくれたから。」


そう嬉しそうに口元を緩ませながら言う佐伯に目を見開く。

そんな顔っ…なんで…

てか、見たいが為にコイツはわざわざこんなこと言ったのか?


「…っ、馬鹿じゃないのか。ほら早く行けって。」

「クスクス。まあ今はそれでいいよ。可愛い姿も見れたし。それに…効果は少しあったみたいだから。」

「…は?訳分からん事言ってないで行くっ。」


シッシッと手で払いながら、ビシッと人差し指を扉へと向け追い払う。

佐伯は小さく笑いながら片手を上げて教室を出て行った。

ようやく静まり返った教室で俺は思いっきり息を吐き、肩の力を抜いて前髪を手で掴む。


本当…油断も隙も無いな…アイツっ。
認める?んなことできる訳がないっ…


やっぱり佐伯の事は嫌いだ。

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