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先生、俺が教えてあげる。キスも全部

第4章 感触

びっくりして声がした方を振り返れば、そこには佐伯が扉にもたれかかり腕を組みながら口元を手で抑えて…

肩を震わせながら笑っていた。


「っ…!?さ、佐伯っ…お前っ!」

「クックック…先生、何百面相してんの?」


普段見せる無表情とは違う、口元を上げて笑う佐伯の姿に新鮮さで少し目が離せずにいた。


「っ…別にっ、百面相なんか…」

「凄いしてたよ。珍しかったから暫く観察してた。」


クスッと小さく笑いながら佐伯は教室に入ってきて自分の机へと足を運ぶ。

観察って…


「…それよりお前は何しに来たんだよ。」


気恥しさから話題を逸らしため息混じりに聞くと、佐伯は机のロッカーを探りながら言う。


「あー…俺は忘れ物取りに来ただけ。…っと、あった。」

「…珍しいな。忘れ物見つかったか?」


黒板消しを置き、チョークを揃えながら問いかければ嬉しそうに返事を返してくる佐伯。


「うん。ノート取りに来てよかった。」

「ノート?…あぁ、授業のか。気を付けろよ。」


コトンとチョークを並べ、注意をすれば佐伯は「これから気をつけますよ。先生。」と弾んだ声で返ってくる。

…分かってるのか?

真剣に答えていない佐伯に再び口から溜息が漏れる。


すると佐伯は机から離れ歩き出す音が聞こえてきて教室を出るのかと思ったら…

教壇の前でピタリと足を止めじーと背中に視線が突き刺さる。

な、何だよっ…


「…佐伯?もう用が済んだなら早く部活に__」

「先生、今朝ちょっと意識した?」

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