先生、俺が教えてあげる。キスも全部
第2章 テスト時間
いよいよテスト週間がやってきた。
あれ以来、佐伯とは全くと言っていい程話してはいない。
出席時に返事と目を合わすくらいだ。
あの時はなんだったのか分からないが、ある意味追求とかされなくて助かっている。
午前中の二時限目は国語のテストの為、今二年の教室の扉の前にいる。
よし、いつも通りに。テスト週間さえ終われば忙しさも断然減るしな。
そう思いながら気合いを入れて教室の扉を開くとザワザワと騒いでいる生徒達。
「おーい、テスト始めるぞ。席に着けー。」
呼びかけると皆仕方なくといった感じでそれぞれの席に着く。
俺も教壇に立つとふと視線を感じ見れば、佐伯が頬杖を付いてこちらを見ていた。
珍しいこともあるもんだなぁ…。いつもなら呼びかけにも応じず窓の外を見ているというのに。
それだけテストに気合いを入れてるってことか。
いい傾向だな。
そう思いながら微笑みプリントを持って生徒が座っている机の前に立つ。
「よし、皆机の上には筆箱だけ置いてな。前の席の奴らは後ろにプリントを回していってくれ。」
それぞれ皆プリントを渡し、俺は腕時計を見ながら言う。
「…皆渡し終わったかな。…始め!」
その声と同時にシャーペンの走る音だけが静かな教室に響き渡る。
俺は皆が座る机一つ一つ見て回って歩く。
カンニングや、ズルをする生徒が居ないか確認する為に…。
でも真剣に取り組む生徒達を見てつい口元が緩む。
そんなこと思いながら見て歩いていると、佐伯が座る机の側へと辿り着く。
佐伯は…おお、ちゃんとやってるな。
ふむふむと感心して通り過ぎようとした時____
チョンっと太腿辺りに何かが当たる感触。
なんだ…?
振り返って見てれば、佐伯が腕を伸ばしシャーペンの頭を俺の太腿に当てていた。
何…やってるんだ…?コイツ…
分からないこととか、トイレとかか?
佐伯の側に行き、小声で「どうした?」と聞く。
すると佐伯は空いてる方の手で頬杖をつき、声は出さず唇がゆっくりと言葉一つ一つを繋ぐように動かす。
____ センセイ、スキ