先生、俺が教えてあげる。キスも全部
第2章 テスト時間
え…?
佐伯の口元を眺めたまま固まる。
なんて…言った…?
瞬きさえ出来ずただ体が動かなくて…思考も止まる。
それを見た佐伯は伝わっていないと思ったのか小さく息を吐き、テスト用紙の名前を書く欄の隣に薄く書く。
___ 《先生、好き。》
言葉がもう一度頭の中へと入って少しずつ整理する。
好き…先生…好き…。。
あぁ、好きね。あー…え?
意味がやっと分かったのと同時に心臓がドクリと脈打ち、動揺とで後ろに1歩下がる。
そのせいで隣の席の机に体がぶつかってしまいガタッと大きな音を立ててしまった。
「っ…先生?大丈夫ですか?」
「ぇ…あ!ごめん、ちょっとふらついちゃって…」
生徒が心配して声を掛けてくれるが今はもう混乱と心臓が五月蝿くて…。
苦笑いして言うしか出来なかった。
そんな俺を見た佐伯は薄い唇が瓜を描いて笑う。
初めて見たコイツの笑顔に顔が熱くなるのを感じた。
絶対っ…からかってるだろっ…コイツっ…
「っ…すまない、皆テストを引き続きやっててくれ。トイレ行ってくる。」
俺はそう皆に声を掛けすぐさま教室を出た。
・
・
バタンッと教室の扉を閉めた後、深く息を吐きくしゃりと自身の髪を掴む。
____ 《先生、好き》
びっくりした、あんな堂々と告白されたの何時ぶりだろうか…。
てか、アイツ…慌てる俺を見て笑ったよな…?
面白半分で言ってるだろっ…
何がしたいんだ…佐伯の奴っ…
あれから全く追求すら無かったから油断した…。
しかもテスト中って…。でもそれより冷静に対応出来なかった自分が情けない…。
何動揺してんだよ、俺。流されるな。
男同士だし、恋愛?いやいや、有り得ないから。
「…ふぅー、よし。」
そう言い聞かせて俺は再び教室の扉を開けた。