テキストサイズ

分け合う体温

第4章 遊園地で

英吾は、真っ青な顔をしていた。

「さっき……由乃とキスしていましたよね。」

愕然とした。

見られていたんだ。

私は、息をゴクンと飲んだ。

どうしよう。

何て、言い訳するばいいのだろう。


「だから、何ですか?」

私は、理人の方を向いた。

「ええ、キスしましたよ。それが何か。」

すると英吾は、お客さん達の目の前で、理人に掴みかかった。

お客さん達から、”きゃああ”と言う声が響く。

「止めて、英吾。」

「止められるか。」

英吾は、小さな声で呟いた。

「以前、由乃が言っていた。好きになっちゃいけない人を、好きになったって。相手はおまえか。」

「そうだって言ったら、どうするんですか。」

あまりにも堂々とした振る舞いに、英吾は理人から手を放した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ