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大勢の兵士たちを前にはっきりとした物言いをする度胸はラルも気に入るところとなった。

しかし、その少年は作戦の標的である連邦の新型戦艦に所属する者であった。何らかの事情があって一時的に戦艦を離れてこの酒場にいたらしい。

少年を迎えにきた戦艦に所属する少女をわざと見逃し、少年と少女を尾行して戦艦の位置を突き止めるとラルは奇襲攻撃をしかけた。

白い悪魔と恐れられる最新鋭の白いもビルスーツがいないので戦いはラルに優勢だったが、どこに潜んでいたのか白いモビルスーツが突如出現した。驚くことに白いモビルスーツのパイロットはあの少年だった。

圧倒的な強さを誇ったラルのモビルスーツ・グフは結果的には白いモビルスーツに破れた。
モビルスーツの性能の違いなのか、あの少年のパイロットとしての資質なのかは分からない。

ラルに届けられる予定だったグフよりも新鋭のモビルスーツはマ・クベの策謀によって彼の息のかかった者たちに届けられた。
その新鋭のモビルスーツさえ届いていればラルの敗北はなかったかも知れない。

或いはハモンが少年に惹かれたことでラルの心に動揺があったのかも知れない。

いずれにしても青い巨星と呼ばれる程の漢はついに敗北を喫した。

モビルスーツ戦に敗れたラルは得意とするゲリラ戦で再び戦艦を襲撃した。
悪いことは重なるもので、ラル家が代々仕えていたジオンの創始者ダイクン家の姫君が何故か戦艦にいて、ラルは戦いの中で戦いを忘れて散った。

ハモンは最愛のラルが散ってしまったのは、自分があの少年に惹かれたせいなのではと自分を責めた。

ハモンはラルの仇討戦を決意した。

モスコはハモンのためにザクをカスタムしてグレードアップした。
そのザクは、ハモンの希望であの少年への愛憎を募って復讐心を煽るために白い塗装を施した。

あの白いモビルスーツはトリコロールカラーであるが、そこは気品の高いハモンのイメージで紫色も混ぜて貴婦人のような姿にした。

今までの戦闘データを解析して得たデータをインプットして白いモビルスーツと同等以上の性能を出せるようにグレードアップする自信はあった。

だが、時は残酷で、ハモン専用のカスタムザクがもう少しで完成するという時に、その完成を待たずに仇討戦は始まってしまった。