
イラクサの棘
第25章 踏み出す一歩
「翔もどうせ寝不足気味だろ?」
「はあ、、まあ…そうですね…」
「おまえまで倒れるとこっちが迷惑なんだ。
今日はゆっくり身体、休ませておけよ。
その代わり明日は、俺がよく行く港町の
朝市に連れて行ってやるぜ。」
そう言って出勤していった松岡先輩。
どこまでも面倒見の良い先輩は
今夜もケータリングで晩飯を届けてくれる。
俺と潤の2人は片付けが終わった後
ベッドでそれぞれ好きなように
ゆっくり過ごすことにする。
「そうだ、潤の携帯の電源切れてたみたい
だから、一応充電しといたぞ。」
「あっ、すっかり忘れてた。
ありがとう、翔さん。」
2人きりの室内
潤を抱き寄せてキスしようとすると
電源を入れた途端に潤のスマホのバイブ音。
「鳴ってるぜ、潤、出ないの?」
「んー後でかけ直すからいい、
それよりも、翔さんキスしないの?」
迷いのなくなった潤は
素直に率直に求めてくれるようになった。
あと乗り越えるべきものは過去だろうな。
唇に触れると薄く開けて
誘い込むように潤が舌先を伸ばして
俺の舌に絡めてくる。
まだ安静にしとかないと
頭の片隅で考えながら、潤とのキスに
夢中になっていく。
