狂愛の巣窟
第9章 【狂愛の巣窟ー最終章Ⅰー】
良かった、享さんじゃなくて。
心底ホッとしてる。
でも有紗に見られた。
今頃また「2人だけなんてズルい」とか言ってるのだろうか。
もっともっと私が気を付けなきゃ。
ほんの少しの気の緩みが全ての綻びに繋がる。
パタパタと階段を降りていきリビングのソファーに座る享さんを見た。
休みの日でもパソコンを開いて少しだけ仕事のメールチェックしたり調べ物していたりと、この一瞬オンモードになる時の享さんにドキドキしたりするの。
パソコン用メガネも普段見ない姿だから余計にグッとくる。
眉間にシワ寄せてたのが私に気付いてパッと笑顔になる。
手招きされて隣に腰掛けたらギュッと抱き締められた。
「享さん!?仕事中でしょ?」
「ん〜休憩」
「子供たち上に居るのに…」
「うーん、ちょっとだけ」
頬にキスされて肩に頭擦り寄せて甘えてくるのは可愛いけれど。
メガネ外して色っぽい顔で見つめないでよ。
私だって我慢してる。
本当は誰よりもあなたに愛されたいから。
同じ屋根の下、ちょっとだけ浮気しちゃった私を許して。
「はぁ……ヤバい、そんな目で見られたら抑えきれなくなるよ」
欲しい………その唇。
キスして絡ませ合いたい。
疼きたいの、享さんのそのほろ苦い珈琲味の舌を堪能させて。
「…………!?」
驚いた?私からキスして。
上顎も歯列裏も全部好き。
足りないのよ、いつもそう。
だから求めちゃう。
もう二度と他の男にいかないくらい刻み込んでよ。
フラフラしちゃうの、何で?
あなた以外要らないのに。
「ハァハァ……十和子、これ以上は」
「ハァハァ……うん、わかってる」
わかってるけど享さんの唇から目が離せない。
「舌出して……お願い」
淫らなお強請りして舌先の唾液を絡ませて吸う。
頬を包み込んで充分にオマンコ濡らして。
ダメ……そうね、わかってる。
「ごめんなさい、仕事終わってないのに」
立ち退こうとしたら腕を掴まれて
「どこ行くの?」って。
「トイレ……色々ヤバい」と脚をモジモジさせてしまう。
察した享さんは「続きは夜にするから」と手を離してくれた。