狂愛の巣窟
第4章 【意のままに踊らされて…】
そう言うのに後ろから顎クイされて無理やりキスしてくるの。
私が何も知らないままなら我儘な一颯くんも可愛く思えてキスに応えていたかも知れません。
有紗とキスしてた舌で私に絡ませてくるの…?
「時間ないから…っ」
冷たい目を向けてしまいました。
わからない……どう接したら良いのか。
顔色ひとつ変わらない一颯くんはいつものように甘えてくる。
「ヤダ……離れたくない」
「待たせちゃ悪いから」
自分の歯切れの悪さに呆れてしまいます。
お尻に触れてきた手が前に回ってくる。
もうヤダ。
「やめて、本当に……そんな気分じゃないから」
「何か冷たい……俺、何かした?怒ってるの?」
そう言われて初めてハッとしました。
私、怒ってるの?一颯くんに?
有紗に手を出したから?
心のどこかでやっぱり若い方が良いんだ、と落胆してたの?
「自分の胸に手を当てて聞いてみたら?」
「え…?よくわかんない、でも十和子さんが怒ってるのは嫌だ、俺…今こんななのに」と股関を擦り付けてきてもうすでに固くなっていた。
面と向かって言わなきゃならないのかも。
「私の事……本当は好きじゃないでしょう?何を企んでいるの?」
「ん…?何の事?」
お尻の破れ目に添って擦り付けてきて身体が反応してしまう。
「性欲の捌け口なら私にしておきなさい……有紗は巻き込まないで」
言った………抱き締めていた力が弱まったので振り返った。
真っ直ぐキミの目を見て言ってあげる。
「有紗を抱いた事、許さないから」
一瞬、口元が笑った気がした。
ケロッとしてるのね。
全く動揺なんてしてない。
「なーんだ、思ったより早くバレちゃった」
「え…?」
「うん、俺、有紗の事好きだよ?でもそれは十和子さんの次にね……俺が一番愛してるのは十和子さんだし親父から奪いたい気持ちも変わってないよ」
「だからって有紗は関係ないでしょう?有紗の気持ち踏みにじって利用してるだけじゃない…!」
「俺、十和子さんの若い頃見たよ?写真でだけど…めちゃ有紗そっくりだよね?俺がもうちょっと早く十和子さんと出逢ってたらこんな感じなのかな?って思ったら有紗に興奮してた」