冬のニオイ
第21章 Tell me why
【准一side】
大野は、真剣な顔で大真面目に俺に告げる。
「おかしいよね?
そんなわけ無いんだけど……。
でも翔くんなんだよ。
そうとしか思えないんだ」
「……大野」
訝しんでいるのが伝わったのだろう。
大野は訴えるように必死の面持ちで続けた。
「ほんとだって!
だって翔くんしか知らないこと、いろいろ知ってるんだ。
オイラに、置き去りにしてごめん、って言ったんだよ?
信じてやれなくて、って。
あんな子供が言う筈ないよ。
一緒に事故に遭った時、翔くんに何かが起きたんだ!」
「…………」
「ねぇ、どう思う?
どうしたら翔くんは目を覚ますのかな?
俺、何をすればいい?」
言いながら、俺の腕をギュッと掴んだ。
あまりに突飛な話で、疑うわけではないが、その場しのぎになるような慰めは言えない。
バンビが突然こんな姿になって現れるなんて、大野は思いもしなかったことだろう。
「大野、現実的に考えろ。
お前はどうしたいんだ?」
「え?」
無防備に見つめてくる顔がいじらしくて、哀れになってくる。
俺は、こいつら二人のために何もしてやれない。
「お前は、バンビとのことをどうしたい?
言ってみろ」
「オイラは……翔くんとちゃんと会いたい。話したい。
翔くんと……翔くんと……」
大野はくしゃっと顔をゆがめると、子供のようにポロポロと涙を零した。
「翔くん……しょおくんっ……。
起きてっ……しょおくんっ……」
立ち上がってバンビの上にまた覆いかぶさる。
おい、バンビ聞いてるか。
お前がずっと愛してきた大野が、呼んでるぞ。
早く起きろよ。
目を覚ましてくれよ。
俺では大野を抱きしめてはやれないだろ。
バンビ!!
大野は、真剣な顔で大真面目に俺に告げる。
「おかしいよね?
そんなわけ無いんだけど……。
でも翔くんなんだよ。
そうとしか思えないんだ」
「……大野」
訝しんでいるのが伝わったのだろう。
大野は訴えるように必死の面持ちで続けた。
「ほんとだって!
だって翔くんしか知らないこと、いろいろ知ってるんだ。
オイラに、置き去りにしてごめん、って言ったんだよ?
信じてやれなくて、って。
あんな子供が言う筈ないよ。
一緒に事故に遭った時、翔くんに何かが起きたんだ!」
「…………」
「ねぇ、どう思う?
どうしたら翔くんは目を覚ますのかな?
俺、何をすればいい?」
言いながら、俺の腕をギュッと掴んだ。
あまりに突飛な話で、疑うわけではないが、その場しのぎになるような慰めは言えない。
バンビが突然こんな姿になって現れるなんて、大野は思いもしなかったことだろう。
「大野、現実的に考えろ。
お前はどうしたいんだ?」
「え?」
無防備に見つめてくる顔がいじらしくて、哀れになってくる。
俺は、こいつら二人のために何もしてやれない。
「お前は、バンビとのことをどうしたい?
言ってみろ」
「オイラは……翔くんとちゃんと会いたい。話したい。
翔くんと……翔くんと……」
大野はくしゃっと顔をゆがめると、子供のようにポロポロと涙を零した。
「翔くん……しょおくんっ……。
起きてっ……しょおくんっ……」
立ち上がってバンビの上にまた覆いかぶさる。
おい、バンビ聞いてるか。
お前がずっと愛してきた大野が、呼んでるぞ。
早く起きろよ。
目を覚ましてくれよ。
俺では大野を抱きしめてはやれないだろ。
バンビ!!