冬のニオイ
第28章 Hope in the darkness
【翔side】
『もう一回生まれてきて、翔くん!
オイラを一人にしないで!!』
叫ぶような智君の声が悲痛に響いた。
瞬間、宙に浮いていた自分の体が物凄い勢いで下降した。
同時に、灯りのない暗い部屋でベッドに横たわる自分の肉体と、俺の手を握って泣いている智君を見た。
目に見えたわけではないのだが、その映像はハッキリと俺の脳裏に浮かんで。
墜落するような落下の最中、俺は、精一杯あの人に呼びかけた。
「智君、泣かないで……」
今、戻るから。
貴方のところへ、今。
今!!
どこから聴こえるのか、昔、祖母の家にあった柱時計の鐘のような音がした。
祈りにも似たその音が、今がまさにその時なんだ、って。
俺に教えてくれる。
いつだったか、何かの時に母が言っていたセリフが蘇る。
『翔ちゃん、人間はね、何度でも生まれ変われるの。
考え方ひとつで、感じ方ひとつで人生に光が射す。
死ななくても諦めなければ、何度でも生まれ変われるのよ……』
そうだね、その通りだよ。
俺はもう一度、大好きな人達が居る場所へ戻る。
そして、あの人を今度こそ泣かせない。
もう二度と離れないように。
優しく包み込むように。
大事に、大事に抱きしめるんだ。
智くん、愛してる……。
そうして俺は、重い目蓋を開いた。
『もう一回生まれてきて、翔くん!
オイラを一人にしないで!!』
叫ぶような智君の声が悲痛に響いた。
瞬間、宙に浮いていた自分の体が物凄い勢いで下降した。
同時に、灯りのない暗い部屋でベッドに横たわる自分の肉体と、俺の手を握って泣いている智君を見た。
目に見えたわけではないのだが、その映像はハッキリと俺の脳裏に浮かんで。
墜落するような落下の最中、俺は、精一杯あの人に呼びかけた。
「智君、泣かないで……」
今、戻るから。
貴方のところへ、今。
今!!
どこから聴こえるのか、昔、祖母の家にあった柱時計の鐘のような音がした。
祈りにも似たその音が、今がまさにその時なんだ、って。
俺に教えてくれる。
いつだったか、何かの時に母が言っていたセリフが蘇る。
『翔ちゃん、人間はね、何度でも生まれ変われるの。
考え方ひとつで、感じ方ひとつで人生に光が射す。
死ななくても諦めなければ、何度でも生まれ変われるのよ……』
そうだね、その通りだよ。
俺はもう一度、大好きな人達が居る場所へ戻る。
そして、あの人を今度こそ泣かせない。
もう二度と離れないように。
優しく包み込むように。
大事に、大事に抱きしめるんだ。
智くん、愛してる……。
そうして俺は、重い目蓋を開いた。