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冬のニオイ

第28章 Hope in the darkness

【智side】

オイラが次に気がついた時には、頭の上で何か温かな感触が動いてて。

月明かりの代わりに朝日が差し込む病室で、横たわる翔くんが首だけオイラに向けて微笑んでた。

オイラが大好きな、あの目を細めた優しい顔で。
涙が目頭から鼻を通って流れてて。

「っ、しょおっ」

驚いたオイラが、ベッドに伏せてた上半身をガバッと起こすと、微かな声でこう言った。



「やっと会えた……」



懐かしい、懐かしい君が、帰って来てくれた。




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