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一夜の睦言

第1章 一夜の睦言

 頬の辺りにひんやりとした空気を感じ、私はゆっくりと瞼を開いた。
 すぐ隣では、整った顔立ちの男性が無邪気な寝顔を見せている。

 私は彼を見つめながら、昨晩のことを想い浮かべる。

 決して忘れることの出来ない一夜だった。
 息を吐く間も与えてくれない深く激しい口付け、初めて受け入れた時の痛み――

 そもそも、何故、この人は私のような子供を抱いてくれたのか。
 いや、単純に酔った勢いだったのかもしれない。

 結局はただの過ちで、この人が目を覚ませば、同時に夢も覚める。

 肌を重ね合って浮かれていたのは私だけで、この人にとっては、ほんの気まぐれにしか過ぎなかったのだ。

 ならばせめて、と思い、私はそっと彼の頬に触れた。

 この瞬間だけでもいい。
 彼の温もりを感じていられたら、と願いながら。

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