
刑事とJK
第17章 過去
そんなある日訃報が届いた
「…北田さんが!?」
刑事科中がざわめいた
「村上!!」
斉藤は勢いよく扉を開けた
村上は窓際にもたれていた
「北田さんが…死んだってほんとか!?」
『…ああ』
村上は斉藤に目を合わせようとはしなかった
『アイツは…いい奴だったな…』
「なんでいきなり…」
『逃げる犯人を捕まえて、争って…犯人が持ってたナイフで刺されたって…』
村上は斉藤を見た
『病院に運ばれた時には…もうダメだったって…』
その目には溢れんばかりの涙が溜まっていた
村上とは一年以上の付き合いだが、涙を見たのは初めてだった
それだから余計に、斉藤はその村上の顔を見ていられなかった
「っなに泣いてんだよ…!!」
斉藤は村上を抱き寄せた
負けん気も力も強くて、刑事としても一人前の村上は、自分よりもこんなに小さく、やっぱり泣いたら女の子だった
斉藤は体全部で包むように村上を抱きしめる
村上の震える手も、しっかり斉藤の背中を掴んだ
『…ぅえぇぇん、斉藤っ…あたしぃ…』
「……」
斉藤は黙って抱きしめ続けた
