
刑事とJK
第20章 夏祭り
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斉藤は公園の、いつものベンチに座っていた
「遅ぇぞ」
『や、ごめんごめん』
「…浴衣?///」
『うん///』
ゆうひは髪を上で束ね、鮮やかな赤とピンクの浴衣を着ていた
斉藤は、予想通りの半袖半パン…。
「いいんじゃ…ねぇの…?///」
それ以上何も言わなかった
『……え?』
「何だよ?」
『いい…わけねぇ!!!って言わないの?』
「言って欲しいのか?」
ゆうひは首を横に振った
『ううん、ありがと///』
「…おぅ///」
ふたりは屋台が出て賑わっている方へ歩いて行った
そこは鮮やかな浴衣を着た人もたくさんで、見ているだけでうっとりしてしまう
『あ、射撃だ。斉藤取ってよ』
「ん、しゃあねぇな」
500円を射撃の店の人に渡し、斉藤はライフルを手に取った
「何が欲しい?」
弾をライフルに詰めながら聞いた
『なんでも取れるの?』
「さあ」
『あのぬいぐるみ』
ゆうひが指差したのは、箱に入ったクマのぬいぐるみだった
「了解」
斉藤はライフルを構えた
パンッ
と撃った
しかし、ぬいぐるみは倒れただけだった
「はっはっは、惜しいね、まだ弾はあるからがんばってね…」
と、店のおじさんが倒れた景品をもとに戻そうとしたとき、
斉藤は間髪入れず、二撃目を撃つ
「おい兄ちゃん、危ないだろ!!」
おじさんは怒った
「じゃあもとに戻そうとすんな。」
斉藤の眼力でおじさんもたじろぐ
『ちょっと斉藤、そんな…』
「気にすんな、こんなのどうせインチキみたいなもんだからな…これくらいさせてもらってフェアなんじゃねぇの?」
斉藤はボソッと呟いて、三つ、四つと撃っていく
最後の一弾を箱の角に当て、とうとうぬいぐるみは落ちた
『やったー!!』
喜ぶゆうひに、おじさんは渋々ぬいぐるみを渡した
「くっ…おめでとさん…」
