
刑事とJK
第41章 冬のシゲの春
『何なんですかぁあなた!!』
ゆうひは斉藤の腕を引っ張った
続いて必死に千花を離そうとする
「何をなさいますか!?」
『いきなり斉藤に、抱き着かないでよ!!』
千花はピンときた
さては…この方が正貴さんの大切なお方でございますね?
それをわかって、千花はわざと意地悪をした
「本来、正貴さんと一緒になるはずであったわたくしが、正貴さんを抱きしめて何が悪うございますか?」
『え!?
何それ!?
斉藤、どういうことよ…!?』
ゆうひは斉藤の服を引っ張った
「ゆうひ、こいつは…」
「正貴さんはお伝えになっていらっしゃらなかったのですか?わたくしたちの縁結びのお話を」
『縁結び!!!???』
ゆうひは目に涙を浮かべた
『あたし…何も聞いてないよ…?
斉藤、なんなの…?』
「ああーもう、落ち着け。
花宝院、お前もいらんこと言うんじゃねぇ」
「申し訳ございません」
千花はニコリと笑った
『…うっ…うっ…』
ゆうひは泣くのを堪える
「前、一回言わなかったか?
真理子が家に来たときによ…」
『…(言った気もするけど…)忘れた…ぐすっ…』
斉藤はゆうひの頭をよしよしと撫でた
「…にしても、お前何でこんなところに?」
「はい、わたくし、この近くでお花と書道の教室を開くことにいたしましたので…」
「へえ」
「それで、久々に初詣でに参りましたのでございます」
「そりゃよかったじゃねぇか。花と書道の教室か…頑張れよ」
斉藤は微笑んだ
「ありがとうございます」
『…』
ゆうひは完全にすねた
フンッと向きを変えて、真理子の隣に行った
「…おい、ゆうひ…」
ゆうひはベッと舌を出した
『1週間チューしてやんない』
「はぁ…」
