
刑事とJK
第41章 冬のシゲの春
「さきほどは、申し訳ございませんでした」
ゆうひは、あっさりと謝ってきた千花に驚いた
『え…いや…その…』
「ふふっ、ゆうひさんは誠に正貴さんをお慕いしていらっしゃるのですねぇ」
千花は口に手を当て、またクスクスと笑った
『そ、そんな…///』
「わたくし、花宝院千花は…
幼き頃より家柄に縛られ、ただ正貴さんの妻になるためだけに育てられてきました」
『え…』
「斉藤家と花宝院家は親戚みたいなもんでね、いろいろあんのよ♪」
ゆうひは千花の話を真面目に聞いた
「顔も見たことがない方の元へ嫁ぐだなんて…とも思いました。
しかし、それが家のためだ、と何度となく言い聞かされてまいりました」
千花は自分の手を握った
「そして初めて正貴さんを目にしたのです…
その時は、何とも思いませんでしたが…」
千花は、それはもう嬉しそうな表情を浮かべた
「正貴さんはこのようなわたくしにおっしゃったのです
"自分で決めろ。
好きなやつも、結婚相手も、人生も"…と」
まっすぐと、千花の目はゆうひを見た
「その時からわたくしは、誠に正貴さんに惚れ申したのです」
『……』
「二度目にお会いしたときは、無理にでも一夜を過ごそうといたしました…」
『……』
ゆうひは唇を噛んだ
「しかし正貴さんは…わたくしを拒みました。
大切な人がいるから…と。
ゆうひさん、あなたのことでございましょう?」
『……』
「悔やしゅうございました…。しかし正貴さんは、やはりわたくしに道を作ってくださったのです
誰にも縛られることのない生き方というものを…」
千花は一筋涙を流した
それはゆうひに衝撃を与えた
「ですからわたくしは…恋というものは諦めましたが、正貴さんには心より感謝しております。
ゆうひさん…わたくしのふざけのせいでつらい思いをなさったなら、どうぞお許し下さい…
そして正貴さんのことを、どうか責めないで下さい…」
千花は深く頭を下げた
ゆうひは椅子から立ち上がり、千花の隣まできた
