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【リレー小説】ルイーダの酒場

第21章 芽生えた気持ち

「よし、絶好のスクープだ!」

シュパっと素早い身のこなしで、ヤスはふたりにカメラを向け、それと同時に、ヒロも実況中継をキリッとチャラく始めた。

タイトル『ピチピチ勇者とハンドパワー魔法戦士の痴話喧嘩』

一方、生配信中とも気づかずに、パームの何発目かが、ムトの左頬に会心の炸裂っ!

「うっ……」

苦痛にゆがんだムトの表情を目にしたパームの胸のうちに激震が走る。

ずきゅーん!

な、なんだ? この身のさけるような胸の痛みは……。

ええい、かまうものか!
こいつは、俺の宿敵を横取りした極悪盗賊っ!

パームが怒りの拳を振り上げると、とっさのムトはキュっと目をつぶった。

ずっきゅーーん!

な、な、な、なんじゃこりゃあ?

呆然としだしたパームの肩を優しく叩き、そして、諭すように語りかけるものがひとり。

「……それは、変(こい)じゃ」

ダーマのガレキからパームに手を差しのべたのは、ピチピチのトムじいさんだった。


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