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【リレー小説】ルイーダの酒場

第25章 家族の絆

化け物となった姫は、戦闘中というか、口論中だった。

「だから、流れがあるでしょ。私が完成型になったあと、なんか誰も聞いてないようなセリフをのべて戦闘開始じゃない」

「完成型になる前にボコボコにしたら、こっちが楽やろ!」とイワハシが拳を突き出す。

「それはわかる。このデスピサロ、お前らみたいなやつ初めてだ」

姫は、完成型前のデスピサロだった。

「あわわわっ……! やべぇっ、こいつはやべぇヤツぞっ!」

ヤスは恐怖でガタガタ体を震わせながらも、プロ根性で動画を取り続けている。

『独占スクープ! アリアハンの姫君は、実はアラフォーで、しかも完成型前のデスピサロだった!』というタイトルまで付けて。

「父ちゃん! 撮ってる場合じゃねぇよっ! ここはパームさん達に任せて、早く避難しようっ!」

「そうよ! あんた、登録者数や閲覧者数よりも、自分の命を大事にしなさいよ!」

オロオロのヒロと、ワタワタしながらつばさを抱くサチに、ヤスはイラつき、床にヒビが入るんじゃないかしらというぐらい、片足で強く踏みつけた。その大きな音で、二人をピタリと黙らせた。

「てやんでぇばろちくしょい! デスピサロが怖くて、YouTuberやってられっか! ていうか、俺達一家にも仲間のために何か出来ることはあるはずだっ! ヒロ、サチ、一緒に考えろっ!」

「と、父ちゃん……」

「あんた……」

『こいつ、何急に江戸っ子みたいな口調になってキレてんの?』と思うも、ヤスの力強い想いに、ヒロもサチも心を打たれた。


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