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【リレー小説】ルイーダの酒場

第30章 ズボズボタイム

ムトは魔物に身構える。

「正体現しやがったな……俺のパームに化けるってことは、煽ってんのか魔物野郎!」

「ちょっと、なんで私に向かって言うのよ! わざわざ真横向かないでちょうだい! てか、誰が魔物やねん!」と光邦は、ブスっとすねる。

レミファは、ムトの言葉を聴き逃がさなかった。

「ちょっと待って……いま、なんて言ったのムト……」

ムトは顔色を変えて口を塞ぐ。

(うおっ! なんであんなこと言ったんだ!? いや、言い間違えたんだ。そうだ)

レミファは、ムトに詰め寄る。

「ムト……光邦さんに向かって、魔物野郎はダメよ! 魔物がかわいそうでしょ!」

「そっちかい!」とムトは半回転しながら倒れ、光邦は苦笑いと苛立ちで瞼がヒクヒクとしていた。

自分が人間扱いされるのは、いつの日なのか……レミファのフォローがくると期待した自分を少し責めた。

魔物はヒタヒタと音をたて、ムト達に近付いてくる。

「お前が存在するから私が人として霞んでくるんだろうがっ! くたばれ、こるぁっ!!」

突然の怒りの声とブオンという、金の剣が唸る音が重なり、魔物の悲鳴を掻き消した。


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