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美しくて残酷な世界

第1章 もどかしい

3年前、私の母は仕事中に倒れ、返らぬ人となった。

私は13歳、中学校一年生の時だった。

「加純ちゃん。もう家に帰ろう。」

泣きながら母のお墓の前に立っていると、母の再婚相手のたっくんが、私の腕を引いた。

「どこに帰るんですか?私。あの家は、たっくんの家でしょう?」

強い風が吹いた。

まるで私の運命を変えるように。

「あの家は、俺と加純ちゃんの家だよ。」

「母は死んだんです。たっくんが、私の面倒を見る事はないと思う。」

すると拓人さんは、私を後ろから抱きしめてくれた。

「加純ちゃんは、俺の娘だよ。」

涙が止まらなかった。

「私、あの家を出て行かなくていいの?」

「当たり前だろ。」

拓人さんは、強く私を抱きしめてくれた。

「加純は俺の愛した人の子供だ。」

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