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美しくて残酷な世界

第5章 誰にも言えない

嬉しかった。

でも、もう娘としてずっと一緒にいるのは、嫌なの。

「もう親子の関係なんて、いらない。」

「親子じゃないよ!」

拓人さんの私を抱きしめる力が、強くなる。

「俺だって、我慢してたんだ。」

「えっ?」

「加純を……娘に見なきゃって……ずっと我慢してた。でも、加純の気持ちを聞いて、我慢できなくなった。」

拓人さんは、私を壁に押し当てると、キスをしてくれた。

急な事に、私は口を両手で覆った。

「加純。俺と一緒にいるって事は、結婚できないかもしれない。それでもいいか?」

私は何度も頷いた。


私達は、この好きという気持ちを、実らせた。

その時見た景色は、今までの中で一番美しかった。


でも、一生誰にも言えない恋。

結婚もできず、子供も産めない。

それはある意味、残酷な世界なのかもしれない

ー End ー
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