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美しくて残酷な世界

第3章 嫉妬

「この話は、また今度にしよう。」

「たっくん……」

そして拓人さんは、私の代わりに肉じゃがを作り始めた。

結局私は、拓人さんに肉じゃがを、作ってあげられなかった。


その週末。

亜里沙さんが、夕食を作りに来た。

「なあに?加純ちゃん、彼氏できたんですって?」

亜里沙さんは、もの凄く喜んでいる。

「そうよね。そういう歳頃ですもんね。いても可笑しくないわよ。」

まるで私を彼氏に押し付けるように言って。

これで拓人さんを、一人占めできると思っているんだ。

「今日は、ロールキャベツにしましょう。」

私はハッとした。

拓人さんの好きな料理。

私が何度挑戦しても、上手くできないもの。

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