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美しくて残酷な世界

第5章 誰にも言えない

拓人さんと一緒に頭を下げて、車に乗った。

さっちゃん家は、意外に近くて、車で帰っても4~5分で着いた。

二人共何も言わず、家の中に入った。

「お帰り。」

ふと拓人さんが、そんな言葉を口にした。

「えっ?」

「思えば、いつも加純が俺に、お帰りなさいって言ってくれたよな。俺、それに甘えていたのかもしれない。」

「それは、当たり前じゃん。たっくんは仕事があるんだから。」

すると拓人さんは、私を抱きしめてくれた。

「今日、仕事から帰って来た時、加純がいなくて、家中探し回った。」

涙声になっている?拓人さん。

「加純のいない家なんて、もう考えられないよ。ずっと俺と一緒にいてほしい。」

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