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美しくて残酷な世界

第5章 誰にも言えない

「帰ろう、加純。」

拓人さんが、手を伸ばしてくれた。

迎えに来てくれたんだ。

さっちゃんも、背中を押してくれた。

「大丈夫ですか?家の方が大変だって、聞きましたけど。」

「はい、大丈夫です。」

すっきりとした笑顔。

拓人さんは、この数時間で、答えが出たって言うの?

「加純、俺を信じてくれ。」

その言葉が、強く心に響いて、私は拓人さんの手を握った。

「はい、加純。」

いつの間にか、さっちゃんが私の荷物を、部屋から持って来ていていた。

「よかったね、加純。」

「ありがとう、さっちゃん。」

さっちゃんのお母さんは、何がなんだか分からない顔をしている。

「すみません。お世話になりました。」

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