
おはな畑
第1章 宇髄夫婦
「はい、宇髄です」
電話の相手は蓮先生。
何を言われるのかと思ったら、
「ごめん! 今日、うち(産婦人科)の当直頼んでいい? 当直医が体調不良で欠勤するって連絡あったんだけど、代わりがいなくって。よろしくね!」
と。
俺の相槌も聞かずに、電話を切られる。
「……は?」
「どうかしました? 誰からですか?」
「蓮先生。今日、産婦人科の当直医が欠勤になったから、代わりに入れって」
「あー、やられましたね。仕事できる人はこれだから大変だ。お疲れ様です」
「俺、今夜も覚えとけって、さっき祥子に言ったとこだぞ……」
「あっはは! 朝から祥子ちゃんにそんなこと!」
項垂れる俺を見て、爆笑する工藤。
だが、俺が顔を上げると、工藤は何かを察したように、
「そ、そろそろ回診行ってき……」
ソファーを立とうとするので、その肩をガシッと掴み、
「工藤、お前代われ」
今度は俺がニヤニヤして言う。
